ヌレエフ

2週間前の金曜日を最後にレッスンに行っていない。

こんなひどい風邪をひいたのはひさしぶりだ。

寝込みこそしないけれど、昼も夜中も咳きこんで仕方ない。

仕事中の会話もままならない。

かかりつけ医には、なかなか治らないねえ、辛そうだねえ、と言われる始末。

これを飲み終わる頃にはよくなると思うよ、と別の薬を出された。

せっかくの3連休もじっと我慢の静養。

隙あらばレッスン着を抱えてスタジオへ飛び出していきたい気持ちをどうにかおさえて、バレエは逃げない、バレエは逃げないと自分に言い聞かせる。

外出しないでいたら冷蔵庫の中身がすっからかんになったので、買い物ついでに図書館へ寄る。

転んでもただでは起きない、とばかりにバレエコーナーへ。

ヌレエフの文字が目に留まる。

ヌレエフ20世紀バレエの神髄光と影ベルトランメヤスタブレ著

新倉真由美訳

文園社2010年

つい先日、ボリショイで世界初演の予定だったヌレエフが直前にキャンセルされたというニュースがあった。

彼の生涯を題材にした作品で、キャンセルの理由もさまざまに取り沙汰された。

ロイターニュース

ロシアのボリショイバレエ団、ヌレエフ初演を延期

今でも人の興味をひいてやまない彼の人生はどんなものだったのか。

ヌレエフについては、子どもの頃に見たダンスマガジンでノエラポントワと一緒に写ってたな、くらいしか記憶にない。

読み始めたらのめり込んで、夜までに一気に読み終えた。

とても目が離せない。

何かに突き動かされるように踊り、愛し、駆け抜けた人生。

バレエに生涯を捧げるというよりは、バレエの生贄にでもなったかのような、才能を持たされた者の苦悩がすさまじい。

亡命から続くKGBによる監視も、同性愛も、エイズへの罹患も、彼の人生をより残酷なものにしているように思えるけれど、その中でバレエは一筋の光でもあったか。

2018年5月に延期されたヌレエフ、今度こそ上演されるといい。

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