夏のはじまり

夜に蛙が鳴いて、夏が立ちのぼる。

昔々、まだ小学校に入る前、私は非常に潔癖だったように思う。

特に食べることが嫌いだった。

ぶにぶにしたもの、不定形のもの、べたべたしたもの。

そういったものは大嫌いだった。

ポテトチップスはチップスターしか許せなかった。

身に付けるものはパリッとした木綿のもの以外ダメだった。

毛布は肌に触れさせなかった。

夏は生の臭いに充ちている。

汗や湿気、生き物の気配。

そういった全てが、私を苛立たせた。

その感覚は今でも分かるし、忘れたくはない。

きっと安心を求めていたんだなと、自閉症の人の本を読んで理解した。

生きているというのは、先の見えない変化の中にあるということだ。

人を狂わすような美味は、この変化の中にある。

しかし変化についてゆかれぬと、心身はすりきれ千切れてしまう。

自らのペースを見誤らないよう気を付けて、夏に向かおうと思う。

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