初春、初夢、「名鉄電車全線2DAYフリーきっぷ」の旅(前編) 愛知・豊川稲荷と沿線都市もうで 憧れのクラシックホテルに泊まる

 昨年の6月に日光金谷ホテルで泊まってきて以来、クラシックホテルの魅力に取りつかれてしまったおいら。その予約の過程でもうひとつ、候補になっていた蒲郡クラシックホテルを急に訪ねたくなり、他の予定で用意していた1月の連休をそちらにまわして出かけることにしたのです… 蒲郡はその昔に冬が温暖な避寒地としてにぎわった、いわば由緒あるリゾート地で見る初夢。舞台も調い、図らずもいいタイミングの旅になりました。

1月25日(水)

狛江549(小田急小田原線5501各停 片瀬江ノ島ゆき)603新百合ヶ丘

             

新百合ヶ丘605(小田急小田原線1507急行 藤沢ゆき)612町田

町田620(横浜線546K普通 東神奈川ゆき)640新横浜

新横浜646(東海道新幹線501A「ひかり」501号 新大阪ゆき)758豊橋

 いつものようにお尋ねした「駅すぱあと」先生が示したルートは、おいらが考えていた地元駅から京王線… ではなく、駅前を出るバスに乗って小田急線の狛江まで。町田駅を経由して、新幹線へはこれまた計画を立てていてなかなか思いが至らない、新横浜での乗継ぎです。車内で毎度いただく鬼のようにかたいアイスクリームを攻略するのに鋳物の産地、富山県高岡市よりこのたび新兵器を導入! 専用に作られた、熱伝導率の高いアルミニウム製のスプーンが握る手の体温で素早くアイスを解かしてゆきます。もう、しばらく待たなくてもいい喜び(笑) 加えてこの日は、車窓に富士がくっきりと見えていましたよ。

             

豊橋815(名鉄名古屋本線93特急 名鉄岐阜ゆき)822国府

国府825(名鉄豊川線872普通 豊川稲荷ゆき)836豊川稲荷

             

  

             

 豊橋駅の改札は出ず、JR飯田線といっしょのホーム上にある名鉄の出札窓口で、これから旅をともにする「名鉄電車全線2DAYフリーきっぷ」を買いました。名鉄が使うほうもまるっきりJR仕様の不思議な駅名標に見送られてまずは豊川稲荷駅へ。ふたたび出会った飯田線の豊川駅とこれも共用の駅前ロータリーで、人と狐が楽しそうに踊っています。もともとの古い家並みを生かし昭和レトロ風に演出された表参道沿いには、豊橋の駅弁で知られる「壺屋」が商う名物の稲荷寿司よりも、うなぎの店が目立つのが意外だったこと。

             

  

  

 狛犬のかわりに狐がいる豊川稲荷は、鳥居があっても神社ではなく「豊川閣 妙厳寺(みょうごんじ)」という曹洞宗の寺院で、ここに祀られる鎮守が稲穂を荷い、白い狐にまたがっていたことから「豊川稲荷」の名が通称として広まったのだそう。お寺だけに境内には立派な山門や三重塔、鐘楼堂などが見られるほか、京都・伏見稲荷神社の千本鳥居にあたるものなのか、参拝者が奉納する千本幟が細い道にずらりと続くさまはなかなかの風情です。帰りは稲荷から駅までの大通りに並ぶ、いかにも門前町の土産物屋を見て歩くのもおもしろい。ちなみに日本の三大稲荷はここと伏見、あとひとつは諸説あるようですが、学生時代にご縁があった街、岐阜県海津市で“おちょぼさん”と呼ばれる千代保(ちよぼ)稲荷と聞きました。

             

豊川稲荷830(名鉄豊川線973普通 国府ゆき)943国府

国府953(名鉄名古屋本線105特急 名鉄岐阜ゆき)1006東岡崎

  

  

 初詣の人出に対応するためでしょう、自動改札機の横に臨時の改札口も設けられた豊川稲荷駅を離れて次に向かった東岡崎で気になった、駅ビル内にある「岡ビル百貨店」は開業時間の9時30分を過ぎても入口の階段が閉ざされたまま。続けて1958(昭和33)年に建てられた駅舎や、6番線まであるホームが斜めに配置されているのが素敵な、併設のバスターミナルなどを見てまわります。現在、東岡崎駅は橋上化へ向けて4年前に橋上の東改札口を供用開始。今の駅ビルは近いうちに取り壊されてしまうというので、その前に3階で営業中という“スパゲッチマカロニの店”を訪ねてみたかったのですが、調べると水曜は定休日のようです。

  

             

  

  

             

  

 サクラとマツの並木に岡崎信金の本社ビルも絵になる(?)河川敷を眺めつつ、乙川に架かる明代橋を渡った先でクロスする東海道(国道1号線)を市役所へ。東西に分かれている庁舎を、外側に取り付けられた中空の渡り廊下がつなぎ、トラス構造が目立つ姿は一見、工場のような印象で、7階までの吹き抜けをむき出しの箱が上下しているシースルーエレベーターがまた、建物の雰囲気によくマッチしています。はとこ(!)の「ワルザえもん」とともに1階ロビーで市制100周年をPR、原付のご当地ナンバープレートにも登場の「オカザえもん」は、ここまでしても非公認なのだそう… 帰りは吹矢橋を通り、鳥居の向こうに踏切がある風景はどこかで見たと思ったら地元の京王線東府中駅の近く。

              

東岡崎1136(名鉄名古屋本線121特急 名鉄岐阜ゆき)1146知立

  

  

 岡崎城に見送られて次に向かった、名古屋本線三河線が出会う知立駅の周辺では6年後の完成予定で立体交差事業が進んでおり、仮跨線橋や新改札口の設置、一部を撤去したホームに資材が積まれるなど、工事はたけなわの様子です。元はそれぞれ別会社の路線だった名古屋本線三河線が合併により同じ名鉄となり、両線が乗り入れられるように駅を移設したり線路に改良が加えられた結果、生まれた配線の妙がここの見どころ(?)で、碧南方面から延びてきて駅へと入り、スイッチバックで折り返して猿投方面へと向かう三河線の線路が少しふくらみ、豊橋方面へ土手の上を通ってきた名古屋本線のガードをくぐって三河知立駅へと抜ける様子などを心たのしく観察してゆきます。

  

             

             

  

 市章のデザインにも採用された、市花カキツバタの大壁画を掲げる市役所で受付の手を煩わせた際、あまりにも丁寧な対応にこちらが恐縮。昨年訪れた秩父と同じく、この街もまた祭行事のユネスコ無形文化遺産登録に沸いているようです。広重の版画にも描かれた東海道の馬市にちなむ、馬のかぶりものをしたキャラ「ちりゅっぴ」がなぜか肩から提げている筒状のお菓子「あんまき」についても少し伺い、駅への帰り道で、貨物列車の機関車がつけていたプレートを玄関前に何枚も並べるお宅を発見! 知立の旧名“池鯉鮒(読みは同じ「ちりゅう」)”から「ちりふ屋台」と名づけられたジンギスカンのお店も気になります。工事完了の暁にはこの、幾本もの線路をまたぐ豪快な大踏切もなくなるということで。

               

  

知立1321(名鉄名古屋本線1292普通 東岡崎ゆき)1326新安城

  

             

安城1352(名鉄西尾線1340急行 吉良吉田ゆき)1425吉良吉田

              

吉良吉田1431(名鉄蒲郡線1462普通 蒲郡ゆき)1501蒲郡

 受付嬢に教わったとおり、駅舎内に構えていた江戸の昔からの老舗「藤田屋」の出店で黒(あずき)と抹茶のあんまきを一本ずつ求め、いよいよ蒲郡を目指します。駅前広場のロータリーや改札口を地下に置く構造が、昨年4月に行った犬山線岩倉駅に似ている乗り継ぎ駅、新安城で降りたときに見つけた「三角市場」でも買い出しを。古くからの単線区間と最新の高架複線区間とのギャップがおもしろい西尾線をフロントガラスいっぱいに空を映して電車が走ってゆく、終点の吉良吉田までの間に市場で求めた炊き込みご飯を、以前は碧南から延びていた旧三河線のホームを使う蒲郡行きの車内であんまきの黒をいただいて、ようやく遅めのお昼を済ませます。

             

花火に温泉、静岡の東の街で遊び旅(2015年7月)

http://SNS.jp/view_diary.pl?id=1948897470&owner_id=10114041

  

             

 蒲郡に着くと、ロータリーの上に大きなヨットが鎮座する海側とは逆の北口へ。旅する喫茶部員(笑)としては気になるレトロなパーラーの看板を横目に市役所へと歩いてゆくと、線路に並行する県道の両側にほぼ同じ高さで続く、まるで城壁のようなビル群に圧倒されます。1952(昭和27)年制定の耐火建築促進法に基づき整備された防火建築帯で、沼津など他の街にもあるのですが、これを見ておいらが思い出したのは、法成立の2年前に自ら大火を経験している熱海の街並み。そういえば、海に面した古くからの温泉保養都市というのも蒲郡と共通ながらも両市は特に関係がないようで、市役所のショーケースでは姉妹都市として、沖縄県浦添市が紹介されていましたよ。

  

 駅前に戻り、降りてゆこうとした地下道の入口に「蒲郡北駅前地下街」とあるのを見つけ、にわかには信じられなかったのですが、行ってみると小さいながらも、本当にお店が並んでいてびっくり! 夕方になり、明かりが灯りはじめた飲み屋街で早くから暖簾を出していた中華「仁仙」に決め、再放送の『水戸黄門』を見ながら餃子とビールを楽しみました。全国に数ある、ビルの地階とは違う「地下街」を持つ都市のなかで、もしかして蒲郡市はいちばん人口が少ない(約8万人)街になるのでしょうか? 日暮れが進むごとにイルミネーションが輝きを増してゆく南口に出て、ホテルでまた飲むのに、せっかくの蒲郡で地物の魚はないかと近くの大型スーパーを覗くも、残念ながら収穫はなし…

               

   

             

  

 蒲郡クラシックホテルは1934(昭和9)年に国際観光ホテル登録第1号「蒲郡ホテル」として開業。1980年から7年間の休業期間を経て「蒲郡プリンスホテル」となり、現在は呉竹荘グループが経営を引き継いでいます。宿泊施設としての歴史は1912(明治45)年開業の「常磐館」からはじまるなど“侍屋敷”がルーツの金谷ホテルに似ているところも。プランに付属のウエルカムドリンクを受け取りに赴いたバー「アゼリア」で、蒲郡みかんのタルトをお供に夜更けのティータイム。部屋に戻っての宿飲みは湯上がりに、地元の酒をと街の酒屋で探してきた関谷醸造特別純米 夢山水」の相手は、ロビーの売店で仕入れたえびせんと三角市場のどて煮に任せます。

口絵写真

1枚目:「初詣」はしないおいらの神社仏閣への接し方は、外国人観光客のそれに近いかも

2枚目:猿投方面から知立駅へ向かう電車の奥に、碧南方面からの架線柱も見えています

3枚目:目の前にふとこんなお店が現れたら、思わずビールを飲みたくなりませんか?(笑)