The Choice 2

人気番組 ”The Voice” のパロディである、

“The Choice” Vol.2。

音楽関連ネタをお届け。

-ホイッスルボイスが導く、別格のエレガンス-

ホイッスルボイスと言えば、

Lisa Fischer である。”How Can I Ease The Pain”は、彼女の intimately な表現と、intoxicating な曲の雰囲気が最高である。しかし、この曲はホイッスルボイスが駆使された、最強の難しさを誇る伝説の曲である。1991年の曲であるが、それまでの曲作りの概念を打ち破ってると思われる。確かに、もっとアコースティックにすれば、ジャズなどでスキャットを交えながら展開しそうな曲の雰囲気で、ありがちな構成でもある。しかし、このホイッスルボイスがなければ起こらないドラマティックな展開となり、別世界へと連れて行かれる。曲も大事だが、やはりシンガーの声は偉大であり、曲の構成にも影響を与えてると思われる。声はやはり、楽器や曲づくり、アレンジよりも、重要な要素だと思える。

70年代のR&Bも最高であるが、90年代のアーバンでエレガントなR&Bには、傑作が多い。ホテルのスイートルームのような優雅さがあるが、そこにシンガーの高音が加わり、神々しい世界が展開される。90年代、先進国では、このゴージャスな気分が全体的に流れていたと思う。観光地やホテルは、どこも無駄に混み合うことはなく、落ち着いていたし、かと言ってサビれてるところもない。無駄に「安く済ませて、貯金しよう」とか、「副業でお小遣い稼ぎ」とかいう感性がない落ち着いた時代である。やはり、流行する音楽の傾向は、社会への信頼や安定感などによって左右されるのかも。でも90年代のNYは、まだ危険だったハズ。

-時代が生み出した、大人向けシンガー-

Lisa Fischer の”How Can I Ease The Pain” は、今考えると、どういう曲なんだろう。完全に大人向けの曲である。失恋の傷を描いた曲のようにも感じるし、トラウマを抱える女性が、恋愛で傷を癒すような雰囲気もある。また、妻子ある男性との、悲しい恋のような雰囲気もある。そして、質の高い進行中の恋愛や、通り雨や街灯、夜霧のイメージ。

東海岸と西海岸の出張ライフや、日本とアメリカの出張ライフや、都会の喧騒、深夜のバー、孤独、脱力感、癒しなど、カクテルに酔いしれながら感じる、大人のメランコリックな満足感が漂う、いい感じの曲である。ケータイやネット、SNSもなく、一夜のことは一夜のまま、秘密は秘密のまま、、、という時代。大人の男性には、ウハウハでも、傷つく女性が多かった時代だと思われる。でも、傷つけられて女は美しくなるのである、、、、みたいな。90年だいは、10代であったので、あくまで想像であるが、30代の影のある女性には憧れた。

-軽々とした技術と、余裕のある表現の魅力-

技術的には、Lisa Fischer の軽々としたホイッスルボイスはスゴいと思う。Mariah Carey よりも緻密でエレガントである。もう少しで、超音波のようになりそうだ。イルカに餌の場所を教えることが出来そうな感じ。よく、「イルカは頭がいい」と言われるが、本当は知能的にはそんなに頭は良くない。超音波を使うだけである。人間も超音波を時々出すことはある。最近はあまり経験がないが、集団でコーラスを歌ったり、法華経を唱えたりすると発生していることがある。”キーーーーン”、”キーーーーーン”とホーミーのような状態が続き、さらに続けると”ピーーーーーーーーー”っとなり、”キュイーーーーーーーーーーーン”と完全な超音波になる。どこからともなく響くのだが、よく聞くと、人間の脳と頭蓋骨、骨髄や胸部から発生しているのだ。

Lisa Fischerの声は、Anita Bakerに似てる。Anita Baker は高音も出て、抜群に歌がうまいが、いつも軽めに歌って、本気出してない感じが魅力である。この傾向はOleta Adams にも見られる。せっかく声が出るのにもったいないな〜と思うのだが、音楽全体から見ると、上手く歌う、難しいことをやるだけがいいシンガーではない。90年代は、Tracy Chapman のようなシンガーもいるし。

-まろやか表現の中にある、意表をつく高度テクニック-

Lisa Fischer自身も、常にShow-stopper であろうとはせず、まろやか表現をする。Yolanda Adams のようなゴスペルシンガーは、常に Show-stopper である。普通の、一般に流行する曲のような歌い方では物足りないと感じてるんだと思う。Stephanie Mills は、まろやか表現であることが多いが、結局曲は難しいものばかり。曲の前半と後半ではぜんぜん違う。”Home” なんて最強に難しい。エレガントにレコーディングされた原曲よりも、ライブは大暴れで満足感が高い。

Leona Lewis の曲も、前半は簡単だけど、後半は必ず高音になり、難しい。カバー曲も、原曲をアレンジし、後半で高音を持ってくる。”Run” や ”Stop Crying Your Heart Out” のように。でも、Leona Lewis の曲は、彼女のオリジナル曲もそうだが、前半部分がそこそこ退屈で、最後まで聞くのが怠くなることが多い。

Fantasia Barrino の場合は、”I’m Here”のように前半がおとなしい曲でも、必ず行き込まれる。シンガーは、”お嬢さん” のような美しい雰囲気より、若くても年配の大御所シンガーのような風格がないと楽しめない部分がある。

大御所シンガーといえば、Patti Labelle にはかなわない。”If Only You Knew” のような曲は、彼女にしか歌えない。彼女の曲はどの曲も、静かな曲とか、エモーショナルな曲とかに分類が出来ない。パフォーマンスするときの彼女のフィーリングで、自由自在に曲の表情を作り上げてしまうから。

ビデオは、

Lisa Fischer の ”How Can I Ease The Pain”。

明治時代の超絶技法級の曲とパフィーマンスである。

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